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名古屋高等裁判所 昭和34年(ネ)471号 判決 1961年1月20日

控訴人 原告 加藤清六

被控訴人 被告 国

指定代理人 菊田久四郎

主文

原判決を取り消す。

別紙目録記載の土地につき昭和二二年一〇月二日付でなされた自作農創設特別措置法第三条の規定による買収処分の無効なることを確認する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

事実

控訴人は主文同旨の判決を求め、被控訴代理人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述、提出援用の証拠、書証の認否は、次に記載するほかは原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。

控訴人は、本件土地の買収当時における立地条件および四期の状況は、

(一)  本件土地の西方約二四〇米のところを木曽川が南流しその堤防と本件土地との間の全地域は旧街道(県道名古屋大垣線)ぞいに南北に細長く発展していた旧市街地域であつてここには人家ならびに毛織工場、染色工場等が軒をつらねてならんでいた。

(二)  本件土地の北方約一六〇米には旧名鉄電車蘇東線の起駅すなわち現在の名鉄バス起駅がありこれを中心とする市街は幹線道路であり右路面電車が通じていた「起-一宮街道」(県道一宮大垣線)ぞいに東方に向つて発展し起町中枢の繁華街を形成しこの区画は全部宅地で人家店舗工場が密集していた。

(三)  本件土地の東方約六〇米には起第一小学校の広大な敷地があり右敷地も以前には多数の人家が立並んでいたが農地改革前に行われた学校敷地の拡張のため立ちのかされたのであり、さらに東方には市街地が発展していた。

(四)  本件土地の南方は前記小学校敷地と前記旧市街地域にはさまれた地区で、戦前より地主が田をつぶして川砂で埋め立て工場用地ならびに住宅用地にするため宅地の造成を完成していた。

(五)  本件土地の隣接地の状況は西側は訴外加藤善一郎が代表者である舛善合名会社の毛織工場の延長および右訴外人の隠居用宅地、その三男の毛織工場および二階建住宅が建つていた。北側は染色工場の排出する石炭がらを利用する埋立のための堆積場となりその西に引続き前記舛善合名会社の毛織工場が建在しその東には起染色株式会社の染色工場が建つていた。東側は川砂で田を埋め立てた宅地でその一筆一〇間向うは戦前からの宅地で建物があり引続き学校敷地であつた。南側は道路に面しその向側正面は川砂で田を埋め立てた宅地造成地でその西には戦前より店舗および住宅用の長屋が建つていてその西には引続き前記の旧市街地区があつて建物が密集していた。

(六)  そして本件土地自体も宅地造成のため川砂を以つて田を埋め立てたこと原審で述べたとおりで隣地の訴外加藤善一郎が右埋立後緬羊を同所で飼育して今次戦争末期におよび食糧事情窮迫のため右の飼育を止めて農作物を作付けしたが作物は充分成育せずせいぜい二分作程度で農地としての利用価値は少かつた。

右に詳述するとおり本件土地は買収計画当時すでに自創法第五条第五号にいう「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当すること明白で買収除外を相当とするのであつたが起町農地委員会は無理にも昭和二二年九月一八日これが買収計画を樹立したのである。

しかし愛知県農地委員会はその権限に基き昭和二三年五月三一日本件土地を自創法第五条第五号により買収除外地に指定したところ、愛知県知事はかかる買収除外地たる本件土地につき昭和二三年八月一四日に至り愛知県公報に本件土地の買収令書の交付に代える公告をなしてその買収手続を完了したのであつて、

本件買収処分は自創法第五条により政府が買収し得ない買収除外地を買収したものであるから、その違法によるかしは明白かつ重大であつて当然無効たるを免れないのである。なお控訴人は本件買収処分に関し令書の交付を拒絶したことはないがその交付(公告でなく)を受けたこともない。と述へた。

被控訴代理人は、

(一)  昭和二二年一〇月二日の本件買収処分当時においては、食糧事情が困難で米麦等の供出がきびしく要請されていた関係もあつて農地の宅地転用は容易に認められない事情にあり、また本件土地の周辺も控訴人の主張するように宅地化してはおらず農地が多かつたのでこの付近が近い将来宅地化されようなどとは一般に予想されず、したがつて、当時の起町農地委員会も本件土地付近一帯の区域について別段自創法第五条第五号の規定による買収除外の指定の必要を認めなかつたのである。

(二)  そして尾西地方にあつて急激に農地の宅地転用が行われるようになつたのは、国内経済の安定とりわけ繊維産業の好況により機織業染色業等の設備投資が盛んになつた昭和二四、五年以降のことである。

(三)  それにもかかわらず、本件土地を含む大字起の全域が昭和二三年五月三一日に一転して愛知県農地委員会により買収除外の指定を受けるに至つた事情は次のとおりである。

(1)  昭和二二年一一月二六日付二二農政第二四六〇号を以つて農林次官、内務次官、戦災復興院次長の連名で各都道府県知事あて「土地区画整理施行地区に関する自創法第五条第四号の指定基準等に関する件の通達(乙第一二号証)が発せられ、土地区画整理施行地区の七〇%以上が宅地化されているものは右法条により買収除外地域に指定すると定めた。

この通達の趣旨は都市計画用地等にかかる買収除外区域指定の基準が従来明確に定められていなかつたため、農地買収業務の遂行上支障を来していたうえ、右基準の不明確なのを奇貨として買収除外区域指定を受けることによつて、農地買収を免れんとする地主層の運動が全国的に顕著となり農地改革の実施が阻害される状況にあつたので、右買収除外区域指定を一定の基準のもとに規制し農地改革事業を迅速適正に遂行せんとするものであつた。

(2)  そこで、愛知県では右通達にもとずきこの際自創法第五条第五号の規定による買収除外指定の実施をも併せて規制するため、昭和二三年一月二二日付をもつて、県農地部長、同土木部長の連名で各町村長にあて、同法第五条第四号の規定に該当する区域に併せて同条第五号の規定に該当する土地の各指定案を県知事あて提出するよう指示した(乙第一三号証)。

(3)  ところで、起町当局は、買収除外区域の指定を受けることは町政の長期計画上望ましいと考えていた折でもあつたし、そのうえ県側から買収除外区域の指定は今回限りとするという趣旨の内々の指導(乙第一四号証)もあつたので、好機逸すべからずとして、前記(1) の三次官通達ならびに前記(2) の県両部長指示に示された基準に達しているか否かを調査することなく、宅地化が七〇%以上に及んだ地域に該当するとして、本件土地を含む大字起ほか五地域を自創法第五条、第五号該当の地域として昭和二三年二月六日付で県知事あて進達し、その結果同年五月三一日付を以つて愛知県農地委員会により、右地域を前記法条該当地区として買収除外の指定がなされたのである(甲第三号証の一、二)。

(四)  右のようないきさつで買収除外の指定がなされたのであるから、はたして本件土地がかかる指定を受くべき条件を具備していたかどうか疑わしいのみならず前記のとおり「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」とはとうてい認められなかつたのであるから、本件買収令書作成の七ケ月後に買収除外指定のなされた区域内に存在するからといつて本件買収処分が無効でないことは明らかである。

(五)  本件農地買収処分について令書交付ができなかつたので昭和二三年八月一四日に交付に代える公告をしたことは認める。ただし右は同年二月控訴人が令書の受領を拒んだためであり、公告の日がおくれたのは愛知県下全部の昭和二二年一〇月二日付買収処分を取りまとめて公告したためである。

(六)  しかし行政行為は書面により表示されたときは書面の作成によつて成立し、相手方に到達することは拘束力を生ずる要件に過ぎないし、一旦行政行為が成立するとたとえかしがあつても公益上の必要ない限り取り消すことはできない。

本件買収令書は昭和二二年一〇月二日作成されているからその日に買収処分は成立したのであつて、その後の買収除外地指定は影響のないもので、もしそうでないと令書の受領を拒否したものと正直に受領したものとの間に理由のない不公平を生ずることとなるし、本件土地は現在も農地であるから、その点からいつても単に行政庁が行政処分の法定要件を誤つて認定したというだけでは無効原因にならない、すなわち取消うるに過ぎないと解すべきである。

と述べた。

証拠として、控訴人は甲第三号証の一ないし三、第四号証の一ないし四、第五号証の一ないし三、第六、七号証を提出し、当審証人加藤善一郎、森仁太郎、吉田信一、加藤きぬの証言、当審における検証の結果を援用し乙第一二ないし第一四号証は不知と述べ、被控訴代理人は乙第一二ないし第一四号証を提出し、当審証人浅野勘一、吉田貞義の証言を援用し、右甲号各証の成立を認めた。

理由

本件土地がもと控訴人の所有であつたところ、被控訴人(その機関としての愛知県知事)により自創法第三条第一項第二号の規定に基いて買収されたこと、その買収令書は被買収者たる控訴人に現実に交付されたことはなく、昭和二三年八月一四日に愛知県知事において自創法第九条第一項但書による交付に代える公告をもつて右買収処分を完結したこと、そして右公告の以前である昭和二三年五月三一日愛知県農地委員会(会長愛知県知事)が本件土地を含む起町大字起ほか五地区を自創法第五条第五号の規定により買収除外地に指定したことは、いずれも当事者間に争いのないところである。

もつとも、成立を認むべき乙第五、六号証の各一ないし三、同第七号証、同第八、九号証の各一、二によると、本件土地につき起町農地委員会が買収計画を樹立したのは昭和二二年九月一八日で、右計画に定められた買収の時期、愛知県農地委員会の右計画承認は同年一〇月二日であることが認められるのである。

ところで、前記自創法第五条第五号では、政府が同法第三条の規定による買収をしない農地として「近く土地使用の目的を変更するを相当とする農地で都道府県農地委員会の指定したもの」を定めているのであるから、右規定の要件を充足するかぎり、本件土地について愛知県知事のなした買収処分と愛知県農地委員会のなした買収除外地の指定とは相反する行政処分といわざるを得ず、右両者ともに農地買収に関する国の行政機関としての地位において行政処分を行うものであるから、前後する右二個の行政処分の関係をいかに考え、農地買収処分についての違法判断の基準時をいかに考えるかによつて本件買収処分の有効、無効を決するわけであつて、本件においても控訴人が前記公告のあつた昭和二三年八月一四日を基準とする趣旨の主張をなすに対し、被控訴代理人は買収令書作成(買収の時期、県農地委員会の承認も同日)の昭和二二年一〇月二日に基準をおく旨主張しているのである。

元来農地買収処分は単純な一回限りの行為により完成する行政処分ではなく、市町村農地委員会の買収計画樹立にはじまり順次手続的に発展形成され最後に都道府県知事の買収令書を当該農地の所有者に交付して完了するという複雑な形のものであるから違法判断の基準時の問題を考えるにあたつても単に処分時説を採るのみでこれを解決することはできず、右手続の各段階のうちどの行為があつたときを以つて基準とするかをさらに考察しなければならないわけである。

そして、全体としての農地買収(自創法による)を考える場合、計画樹立、買収の時期、令書交付の三種の時期が右違法判断の基準時として普通着目されるところであるが、

(1)  およそ行政庁は法の根拠がなければ行政処分をする権能がないしこの権能ははじめに行為に着手したときにあれば足りるというものではなく最後に行為を完了するときになければならぬこと、

(2)  農地買収の手続においては、むしろ買収計画樹立の時に買収の要件を具備すればよいとの見解がその手続の実際に徴し強調されることは否定できないが、遡及買収に非ざる農地買収において、買収計画樹立後自然に事態が変つたとか、適法に事態が変更された場合にもこれを無視して買収手続を続行してよい趣旨を自創法が認めているものとは解せられないこと、

(3)  農地買収計画は買収処分によつて国が当該農地の所有権を取得するという全体としての一つの処分の先行的手続にすぎないものであつて、右の前段階の行為は後段階の行為がなされることにより全体としての処分が適法に完結されることを予定して行われ、当初より全体の一部としてなされたものでしたがつて全体としての処分の完結が不能であること明白となれば、それ自体で独立の存在価値をもたない前段階の行為は当然失効するといえるわけであるから最後の段階が全体としての処分の基準となるべきであること、

(4)  買収計画において定められた「買収の時期」は自創法がその時において農地の所有権を国に移転しこれを基準として売渡の相手方を定めるとする趣旨からして重要ではあるが、これは関係当事者にあらかじめ所有権収用の時期を知らしめ所有権移転の時期に前後を生ずることをさげた趣旨および通常には売渡の時期と一致させてその間に問題の起ることを防止したものでむしろ行政上の便宜に出たものであるからこれを買収要件存否の判断の基準時とするのは相当でないこと。

(5)  農地法が第八五条第一項第二号において買収令書の交付のみを訴願の対象としたこと。

(6)  被控訴代理人の主張する買収令書作成の時期というのは、(本件においては右(4) の「買収の時期」と一致しているが、)結局行政庁の一応の内部的意思決定のあつたときを指すに過ぎず、農地買収といえども被買収者に対する個別的行政処分であることには変りはないから、これを少くとも被買収者に対し表示しないことには外部より認識のしようがないから判断の対象とすることはできず、換言すれば外部に対し表示しないうちは、行政処分としていまだ表示されたのではないからこれを変更、取り消しすることはできるのであつて、一応書面に作成した以上内部的にもすき勝手に変更、取り消しすることはできないであろうがその故に書面作成の時をもつて基準とするということはうなずけないところである。

以上のような理由からして、

自創法第三条の規定による農地買収処分の無効を判断するには買収令書交付のときを基準として考えねばならないものと解すべく、当該買収目的地が自創法第五条第五号の「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」であつて、右法条の規定する農地委員会の指定が知事の買収令書交付あるいはこれに代わる公告による買収処分完結の前になされた以上、たとえ、右指定が買収計画樹立以後になされた場合であつてもかかる農地買収処分は当然無効と解すべきである。(昭和三四年七月一五日最高裁第二小法廷判決同二八年一二月一五日第三小法廷判決参照)

そこで、右の基準時すなわち本件においては買収令書の交付に代わる公告のあつた昭和二三年八月一四日において本件土地が「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」であるかどうかを考察することになるが、右宅地化の状況は後記のとおり時を経るにしたがい盛んになつたのであるから原審以来当審の始めまで本件当事者双方ともに昭和二二年一〇月二日を買収処分のあつた日として考えていたにしても、その点は判断に支障を来すことはないものというべきである。

成立に争のない甲第三号証の一ないし三、同第四号証の一ないし四、同第六、七号証、成立を認むべき乙第一二号証、原審および当審における証人加藤きぬ、同吉田信一、同森仁太郎、同加藤善一郎の各証言、原審における控訴人本人尋問の結果、ならびに原審および当審における検証の結果を総合すれば、

本件土地はすでに、昭和一二年ごろ、付近の田とともに一たん川砂をもつて埋め立てられ、(川砂を下に入れその上に田の土を繰り上げて埋め立てすることは、宅地にするためであつても望ましいことであるから、そのこと故に宅地にする目的でなかつたとはいえない)その後しばらくは繊維業者である訴外加藤善一郎において緬羊を飼育するために使用し、今次戦争末期以降食糧窮迫の折柄、米、麦、野菜等を栽培するに及んだ、たかだか二、三分作程度の不作地で、右訴外人も農を本業とするものでなく本件土地はひとり宅地の中に取り残された状況で本件土地の隣地ならびに周辺一帯は控訴人主張のように昭和二二年秋ごろ多くは宅地化していたものであつて、その状勢は翌二三年に及び益々盛んであつたものと認められるから本件土地は「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」であつて、前記愛知県農地委員会の買収除外地の指定が不当とは考えられないし、被控訴代理人主張にかかる三次官通達(乙第一二号証)に多少相違していたとしてもそれ故右指定の効力に影響を及ぼすものでなく、また、右指定が買収計画樹立のあつたものについて除外例を設けているのでないことは成立に争のない甲第三号証の一ないし三に明白である。

被控訴代理人は本件土地が現在においても農地であるから買収処分のかしは明白ではないというが、自創法第五条第五号は農地であつても買収し得ない土地を規定しているのであり本件土地について前記のように愛知県農地委員会の自創法第五条第五号による指定があつたことはその当時本件土地の非農地への高度の転化性が顕著に存在していたことを表明するものであるから本件買収処分のかしが明白であるというに充分である。

また、本件口頭弁論の全趣旨に徴すると控訴人が特に何等かの意図あつて、本件買収令書の受領を拒否したとかその住所が不明であつたとかというような形跡はみられず控訴人は昭和二三年二月当時は成年に達して間もないころで父はすでに死亡して母きぬが財産その他を事実上支配していたのであり、もちろん本件買収計画等に対し異議訴願等をなしたこともなく、むしろ本件買収令書の交付をせず之に代わる公告により処分を完結したのは起町農地委員会あるいは県係官等の事務上の便宜に出でたものとも推認されるのであるから、「買収の期日」(県委員会承認も同日)と公告の日との間に前記愛知県農地委員会の買収除外指定があるに至つたことは控訴人側の作為によるものと考える余地は全くなく、また行政庁側においても、かかる意図があつたものとも考えられず、むしろ、行政庁間の連絡不充分による手落と推察する余地がないとはいえないが、大体行政処分を無効とするのは行政庁の落度があつたからしてそれにより権利を侵害されたものを救済するためにあるわけであつて、これを過失として寛容し国民の権利救済をなおざりにするような考えをとることはとうていできないことである。

されば、さきに説示した行政処分の違法判断の基準時についての見解が本件に適切でないと考えるような状況はないものといわねばならず、

また、本件において見られるように愛知県農地委員会の自創法第五条第五号による指定が個々の土地につきなされずして一定の区域内の農地全部につきなされた結果(かかる包括的な指定も被控訴代理人主張のように-乙第一三、一四号証参照-同法第五条第四号の指定がなく、第四号第五号をあわせて指定する趣旨で形式上は第五号の指定としてなされたのであると解せられるから有効である)買収令書の交付あるいは公告の時期如何により買収の効力に差異を来すことのあるのはやむを得ないのであつて、そのことを理由として前記判断を左右することはできない。

そうだとすると、本件買収処分はその余の控訴人主張の無効原因につき判断するまでもなく、明白かつ重大なかしあつて無効のものというべく控訴人の本訴請求は正当としてこれを認容すべきものである。(なお本件買収処分後になされた売渡はその後取り消され、交換は原審において被控訴人がその無効を認諾したので、本件買収処分が無効となれば控訴人の所有に戻る筋合であるから確認の利益存すること明白である。)

よつて、これと見解を異にし控訴人の本訴請求を棄却した原判決を不当として、取り消し、民事訴訟法第九六条、第八九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 坂本収二 裁判官 西川力一 裁判官 渡辺門偉男)

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